True Love

柴崎くんはバツが悪そうな表情で私を見る。

「これまで姉貴にプレゼント渡すなんてことしてこなかったんだけどさ…。俺の家、父親が単身赴任で年に数回しか帰って来られないんだけど、今度姉貴の誕生日の時にちょうど帰ってくるから家族でお祝いしようって父親が張り切ってて」

その流れでみんなでお姉さんに内緒でそれぞれプレゼントを用意しようということになったんだと柴崎くんは教えてくれた。

「なんだかいいね!お姉さんが絶対喜んでくれるようなプレゼント、探そうね!」

「お、おう」

またバツが悪そうな顔をして今度は私から目を逸らす。そんな彼の態度は気になったが、何もつっこまずに私たちは腰を上げてショッピングモールに向かうことにした。

「お姉さんって、どんな感じの人なの?アクセサリーとかは身に着ける人?」

「アクセサリーはよく着けてる。ピアスも開けてるみたいだし」

ピアス。私は校則もあるし怖くて開けようとは思わないけれど、高校生って大人だなあと感じる。

お姉さんを見たことはないから柴崎くんから聞いた情報だけだけれど、アクセサリーが無難だと判断して私たちはショッピングモールのアクセサリー売り場を見に行く。

「…俺一人だったら、こんなところ入る勇気ねえわ…」

キラキラしたアクセサリーがずらっと並ぶ売り場を眺めながらそう呟いていた。確かにこの売り場に男の人だけが入っているところは見たことがない。カップルなどがいるのは時々見かけるけれども。

「あ!これかわいい」

多くの商品が並んでいるので、私の好みのものを見つけると思わず夢中になってしまいそうになる。だけど、今日は柴崎くんのお姉さんのプレゼント選びなのだと自分に言い聞かせる。

アクセサリー売り場は他にもあるので色々と見て回ること2時間弱、ようやくプレゼントが決定した。

予算も考慮して、花が散りばめられたバレッタ。ピアスは少し予算がオーバーしてしまう物が多かったので早々にやめることにしていた。


「お姉さん、喜んでくれるといいね」

「おう。本当にありがとうな」

買い物が終わり、フードコートで昼食をとっていた。