私が入り込むことのできない部活トークが展開されている時に、ずっとしゃべっていた須田くんが話すのをやめて立ち止まる。
「大森、どうする?俺らはこっちの道のが近道になるけど…」
どうやら土手を降りたところにある小道から行くとふたりにとっては近道となるらしい。私と柴崎くんと方向が異なるため、杏ちゃんたちはどうするか迷っていた。
しかし、杏ちゃんの迷いはすぐに取り払われる。
「京平、私たちは近道しようよ!」
「そうするか?」
杏ちゃんはとてもいい笑顔をしていた。
「じゃあ俺らはこっちから行くわ。またな、おふたりさん!」
私たちに手を振って土手を降りていく須田くん。そして杏ちゃんはそれに続いて行く前に私の耳元でそっと「頑張ってね」とささやいた。
杏ちゃんの笑顔の理由はそういうことか、と納得すると同時に柴崎くんとふたりきりで帰ることになるのだと意識する。
「…じゃあ、俺たちも帰るか」
「う、うん」
柴崎くんとふたりで歩くことは初めてではないけれど緊張してしまう。
正確に言うと、周りには何人も会場から帰宅している人たちがいるのでふたりきりとは言えない状況なのだけれども。
最初はお互いに何も話すことはなく無言が続いていた。だけど何か話さないと気まずさがあるので私は花火のことを話題にすることにする。
「花火、とってもきれいだったね」
「ああ、そうだな。でもよくテレビで東京の花火大会の映像とか見るけど、そっちのが断然に規模もでかくてすごいんだろ?」
最初の頃、図書室のカウンター当番の時とは違って会話が続くことに安心する。
「んー、確かに規模は違うけど…それぞれにいいところがいっぱいあるよ」
「へえ…。俺は都会の花火大会に憧れるけどなあ」
「きっといつか行けるよ」
こんな風に他愛もない話をしているとだんだんと人が見えなくなっていき、気づけば辺りは私と柴崎くんだけになっていた。
「大森、どうする?俺らはこっちの道のが近道になるけど…」
どうやら土手を降りたところにある小道から行くとふたりにとっては近道となるらしい。私と柴崎くんと方向が異なるため、杏ちゃんたちはどうするか迷っていた。
しかし、杏ちゃんの迷いはすぐに取り払われる。
「京平、私たちは近道しようよ!」
「そうするか?」
杏ちゃんはとてもいい笑顔をしていた。
「じゃあ俺らはこっちから行くわ。またな、おふたりさん!」
私たちに手を振って土手を降りていく須田くん。そして杏ちゃんはそれに続いて行く前に私の耳元でそっと「頑張ってね」とささやいた。
杏ちゃんの笑顔の理由はそういうことか、と納得すると同時に柴崎くんとふたりきりで帰ることになるのだと意識する。
「…じゃあ、俺たちも帰るか」
「う、うん」
柴崎くんとふたりで歩くことは初めてではないけれど緊張してしまう。
正確に言うと、周りには何人も会場から帰宅している人たちがいるのでふたりきりとは言えない状況なのだけれども。
最初はお互いに何も話すことはなく無言が続いていた。だけど何か話さないと気まずさがあるので私は花火のことを話題にすることにする。
「花火、とってもきれいだったね」
「ああ、そうだな。でもよくテレビで東京の花火大会の映像とか見るけど、そっちのが断然に規模もでかくてすごいんだろ?」
最初の頃、図書室のカウンター当番の時とは違って会話が続くことに安心する。
「んー、確かに規模は違うけど…それぞれにいいところがいっぱいあるよ」
「へえ…。俺は都会の花火大会に憧れるけどなあ」
「きっといつか行けるよ」
こんな風に他愛もない話をしているとだんだんと人が見えなくなっていき、気づけば辺りは私と柴崎くんだけになっていた。


