True Love

まさか取ってくれるなんて思ってもみなかったから本当に驚いた。だけど驚きよりも嬉しさの感情の方が大きい。

須田くんの方も杏ちゃんに水風船を渡していた。

私たち女子ふたりは男子たちの後ろでこっそり目を合わせて笑い、喜びを共有し合った。

出店を見て回っているとだんだんと人も多くなってきて、あっという間に花火が打ち上がる時刻が近づいてきた。

確保しておいた場所に戻り、4人でレジャーシートの上に腰を掛ける。このシートは毎年杏ちゃんとふたりで来ていたのと同じものらしく、4人で座るのはかなりぎりぎりのものだった。

「もう、狭いよ!ちょっとは考えてよ、京平」

「ごめんごめん。いけると思ったんだよ~」

杏ちゃんたちはそんな会話を私と柴崎くんを挟む形でしていた。そう、私はこの4人では狭いレジャーシートの上で柴崎くんと隣り合わせに座っているのだ。

柴崎くんの肩に触れる自分の肩が熱くなるような気がした。最初は心臓が苦しいほどバクバクしていた。その音が聞こえてもおかしくないんじゃないかというほどに。

そして緊張が少し解けた頃、一発目の大きな花火が打ち上げられた。

ドーンッ、という大きな音を伴った花火はとてもきれいだった。それに観客の視線は釘付けだ。

「わあ!きれいだねえ」

一発目が打ち上がったのを境に、次々と打ち上げられていく色とりどりの花火に私も夢中になる。

こんなきれいなものを柴崎くんと一緒に見ることができて本当に幸せだと思う。

だけど、花火が打ち上げられる時間は実際に流れる時間よりも、とても短いものに感じられた。


「本当に花火ってあっという間。もっと見たいのになあ…」

「だよね、私も今そう思ってた!」

花火が終わると目的のものはもうないというように、ぞろぞろと人が帰っていっていた。

「俺らも帰る?」

「あ、悪い。親に焼きそば買ってきてって頼まれてたんだった」

親に頼まれたという柴崎くんの用事を済ませてから私たちは帰宅することとなった。