True Love

次の授業がもうすぐで始まるからと須田くんがこの場を去っていった後に杏ちゃんと花火大会のことを話し合う。

「花音ちゃんは浴衣着て来る?私は毎年来て行ってるんだけど…」

「浴衣か、私も来て行くよ!」

向こうの花火大会にも浴衣で行っていたし、それを処分せずにこっちへ持ってきていたはずだ。それにおねだりしたら新しいのを買ってくれるかもしれない。

「めいいっぱいオシャレして来てね!」

私にそう言った杏ちゃんは笑顔のままで視線を柴崎くんに向ける。

「…何?」

そんな杏ちゃんの視線に訝し気にしていた。

「別にー、なんでもないよ!」

私には杏ちゃんがどういうつもりなのか察することができたから、花火大会に誘ってくれたことは感謝するものの、柴崎くんへのその態度には冷や汗をかいた。

柴崎くんに変に勘づかれたくはない。

「杏ちゃんの浴衣ってどんなの?」

慌てて話題を振ることにした。それからは私とふたりでのやりとりをしているうちに授業が開始された。

どうやら柴崎くんは杏ちゃんのさっきの態度を気にしている風でもない。