リビングに置きっぱなしにしていた自分の鞄を持って自室へ行く。

戸を閉めて鞄を床に置き、ベットにダイブする。

そして今さらながら顔が紅潮するのがわかった。

あの柴崎くんがうちに来てたんだ。それにまた自転車の後ろに乗せてくれた。

思わず顔がにやける。


ああ、これはもう認めざるを得ないのかもしれない。


この高揚感は柴崎くんだったからだ。こんなに胸が高鳴るのは相手が他の誰でもない、柴崎くんだったからだ。

もっと彼の笑顔を見ていたい。もっと彼とお話がしたい。


好きなんだ、柴崎くんのことが---…


「あっつ…」

そう自覚すると顔がさらに熱くなった。頬に手を当て、冷まそうとするが無理だ。

これが恋なのか、なんて考えているとさっきの『桐山は平気だ』という言葉をもう一度思い出す。

「…あれ、それって女子って感じがしないってこと…?」

さっきまでの高まった気持ちが急下降する。

女子認定されてない所から始まるなんて…!

苦手ではなくても、これは前途多難な恋になりそうだ…。