True Love

「藤城さんは、柴崎くんのこと全然わかってない!」

そう怒鳴った私を見て、彼女らはキョトンとする。

「…は?」

怒鳴った私に「なんかウケる」と言って藤城さんは笑った。

「柴崎くんは優しいよ。なのに柴崎くんを悪く言わないで!」

「ちょっと、なにあんた。なに必死になってんの?」

この行動は自分でも信じられないことだった。だけど私は必死になって藤城さんに訴えかけた。

「さっきの、柴崎くんへの悪態を撤回して」

「いや、あんたに関係ないでしょ?」

「いいから撤回して!」

こいつ頭おかしいんじゃね、なんて彼女らの中の誰かが言う。それに対してみんなが笑う。

だけど、私にはそんなことどうでもよくて。柴崎くんのことを悪く言われることだけが許せなかった。

別れたって話を聞いたときは柴崎くんにがっかりしてしまったけど、今は違う、私の考えはきっと間違っていたと思う。

「柴崎くんは、本当はすごく優しいし気遣いだってしてくれるよ。藤城さんとのことだってちゃんと考えてたはずだよ!」

柴崎くんと私はそんなにも関わりはないけれど、どうしてだか私の言った言葉に根拠を感じた。

自転車で送ってくれたときも、ミルクを見つけたときも、柴崎くんはいつも誰かのことを気遣っていた。

それだけだけど、藤城さんとのこともいろいろと考えていたはずだと思うには十分だと思った。