「すみませんでした、朝比奈先輩。
お見苦しいところを見せてしまいました」
渚はスッと手を離した。
俺は離れていく手を少し寂しく思いながら慌てて首をふった。
「いやいや!見苦しいだなんてそんな…。渚が無事で良かったよ」
半分無事ではないんですけどもね。
「あの……少し、言い訳をしてもいいですか?」
渚は少しだけ俺に視線を向け、小さな声でそう言った。
「私、あの子の彼氏さんにはなにもしてないんです。というか、私がノートを職員室に運ぶのを手伝ってくれただけなんです」
「それを、勘違いしたんだな」
渚はコクリと頷いた。


