「あのとき?」
「そう!今から…えと、8年前だ!
サクラ山って呼ばれてた土手で、俺の花冠、一緒に作ってくれただろ?」
「サクラ山……花冠……?」
渚は、少し考えるとハッと思い出したように俺を見た。
「あのときの泣き虫くん…」
「なっ……!?」
いや確かに、昔っから泣き虫で周りのヤツらにからかわれてたし、あのときも泣いてたけど!
「そう…なんだけど……あんまり頷きたくねぇなオイ」
「てっぺー……」
「へ?」
あまりに突然すぎて、アホみたいな声が出てしまう。
渚が、俺の名前を覚えてた。
俺は何も言えず、ただ、なんとも言い表せない気持ちが溢れ、だばっと涙が出た。
「………!…………!!」
「え、すみません。なにか気に障るようなことでも言いましたか?」
「い"っ…ぢがぐで…ゔっ…だ、だばえ…覚えででぐっ、うっ、ぐれだがら…ゔぉ…」
泣き虫直ってねぇじゃんッ!!!
と、心の中でツッコミを入れるが、今はそれどころではないんだ。


