-----翌日。



「いってきまーす」

ガチャ

「あ」



いつものように
家を出ると、
隣の部屋から
いつもとは違う人が出てきた。

愛想がないわけでもないけど、
あまり社交的でもないあたしは、
どうしたものか戸惑ってしまう。





「おはよ!」

「あ、おはよ…」



あたしの戸惑いとは不釣り合いに
なつっこい笑顔で迷いなく
挨拶をし、こちらに
駆け寄ってくる高瀬君に、
少し面食らってしまった。



こんな爽やかな挨拶を
されたのは初めてかも…。





「やー!
ちょうど良かった!
学校までの行き方
いまいちわかんなくてさ」

「あ、じゃあ一緒にいく?」

「お願いします!」



高瀬くんは大げさに
敬礼をしてみせたあと、
へへっと笑った。





-------------------…





「そういえば、
1人暮らしなんだね?」



電車に揺られながら
高瀬くんに話しかける。



「まあね。
つっても援助は
してもらってるけど」

「なんでこんな時期に
引越してきたの?」

「んー、まあ
家庭の事情、かな」



そう言われるとこれ以上
何も聞いてはいけないような
気持ちになる。