「あっ、公園の…」







そう、現れたのは
先ほど公園で何やら
ぼんやりしていた
あの男の子だった。







「公園?」

「ああ、いや、今日公園で
あなたがボーッとしてるの
見たので…」

「あ〜…あの時か。
ははっ。恥ずかしいとこを
見られたな」





ちらりと表札を見ると
高瀬と書いてある。

高瀬さんは小さく笑った。
でもその笑いはとてもぎこちなく、
なんだか切なげだった。







「あの、もし何か、
悩んでることとかあるなら、
誰かに相談してみたら
どうですか?」





さっさとおかずだけ渡して
帰るつもりだったのに、

高瀬さんが一瞬だけ見せた
切なげな顔がどうしても
ひっかかってしまい、
つい余計なことを聞いてしまった。


彼は一瞬目を伏せたあと、
困ったように笑いながら言った。



「どうせ話したって
解決するわけじゃないなら、
話さない方がいいと思いませんか?
ほら、空気悪くなるだけだし」

「そんなの!
ただでさえ悩んでるのに
話すことまで我慢することないのに!
絶対話すだけで違うに
決まってんじゃん!」