「ため息ばっかじゃ
幸せ逃げるぞ?」

「ふっ…これじゃ
高瀬くんの向きからしか
セリフ読めないよ」

「えっ!?ほんとだ!」





一生懸命前の席から
私が読みやすいよう、
逆さまに文字を書き直している。





…まいったなあ。
やっぱ嬉しいや、この席。







と、ふいに佐伯と目があい、
妙にニヤニヤされてしまう。



何故か佐伯には
私の気持ちがお見通しのようで、
とてもやりにくい…。





「おし、できた!
読めるっしょ?」

「…高校生の字には
見えないけどね」

「あぁん?やんのか?」

「うわ、高瀬君、
びっくりするほど怖くない」

「…そうそう!
佐山さんは笑顔が一番よー」

「…!//
ってさっきから
何見てんだ佐伯こらあ!」

「うっわ、来んなよてめえ!」







…赤い顔を隠すため
佐伯に逃げた。





私が立ち上がったあとも
高瀬君は机の落書きを
じっと見つめていた。