「バーカ!
俺は今バスケに燃えてんだよ!」

「バスケが恋人とでもいうわけ?
きもっ」

「てっめえ!
本当ありえねーわ!
俺だったらこんな
言葉遣い悪い女!」

「別に誰もあんたの好み
聞いてないんだけど」

「へっ、まあせいぜい、
新しい出会いでも
見つけるこったな!
俺らのクラスのやつで
今更お前に惚れる奴なんて
どうせいねーから!」

「うっさい!
早く部活いけ!!」







ハハッと最後に
満開の笑顔を残して
佐伯は体育館へ走って行った。





ったく...
あいつだって相当口悪いじゃん!
なんで女だからって
あたしばっか言葉遣い
どうこう言われなきゃいかんのよ!

男尊女卑!!








イライラしながら
早歩きで帰ると、
すぐにマンションまで
着いてしまった。







あ、そういえば今日、
お隣さんに誰か
引っ越してきてたな。





夏休み明けのこの時期に
引っ越しなんて珍しい。







朝、学校に来る時は
引越し業者のトラックで
賑やかだった
マンションの前の公園も、
今ではすっかり
静かなものに戻っていた。



このマンションは小さなもので、
一人暮らしや男女2人で
住んでる人がほとんどなので、
公園で遊ぶ子供も
全然いないのだ。

ちなみにあたしは
父親が単身赴任中なので、
母と2人で住んでいる。







ふと、公園に目をやると、
1人の男の子がブランコに
座って揺れていた。