高瀬くんが引っ越してきて
はや1週間。

あたしたちは明日に迫った
文化祭の仕上げに入っていた。

あたしたちのクラスは
よくある喫茶店の
ようなものをやるつもりだ。





とはいえあたしは
買い出し係で、
買い出しはもう
終わっているので
ただ暇だった。





「佐山さん、暇なの?」

「あ、高瀬くんも?」

「いや、俺は暇人じゃないよ?
一緒にしないでよ」

「ちょっとー!」

「ははっ、うそうそ、
俺もめっちゃ暇」



高瀬くんは屈託無く笑う。



「俺なんて途中から
引っ越してきたからさ、
何の係もないんだよね」

「じゃあ自分からすすんで
雑用でもなんでも
やればいいじゃーん」

「んー、佐山さんが
働き始めたらおれもやるよ」

「じゃあ一生無理だわ」



はははは、と2人で
声を揃えて笑う。





しかしそんな和やかな空気に
不釣り合いな緊迫した声が
教室に響いた。