駄目男、最低。


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「美和ちゃん♪」


出勤してすぐ声を掛けてきたのは歯科医の山瀬 陸先生。
この人目当てで患者さんが来る位端整な顔立ちをしてる。多分モテるだろうけど、何故かこの人はあたしに絡んでくる。


「…おはよーございます」


淡白に返すと、山瀬先生は愉しそうに笑った。


「俺といい加減付き合わない?」


軽い口調はいつもの事だけどあたしは面倒くさくあしらう。事実、面倒くさい。


「彼氏いるんで。…何度も言わせないで下さい。」


溜め息混じりの言葉に「残念」と呟いてから「早く別れろよ」なんて笑っている。


「無理です」


「なんで?」山瀬先生は端正な顔を愉しそうに歪める。


「山瀬先生、大事にしてくれそうだから」




山瀬先生は一瞬呆気に取られると


「それ駄目なの?」


とクスクス笑った。