駄目男、最低。

山瀬先生の手を引いて、無言のまま車に乗り込んだ。


「…いいのか?」


ザーザーと雨の音だけがうるさい車内で山瀬先生の声ははっきりとしていた。

『どうだっていい』としか言えない答えは口に出すのも面倒だった。


康介の腕と違う筋肉質な腕があたしを包む。


「…『どうだっていい』顔してないでしょ」



溜め息と一緒に落とされた言葉に身体が強張った。


「今、決めても、後で決めても後悔するなら」


「今、決めて」


山瀬先生の形良い瞳があたしを見つめる。


振り返れば康介がいて


前を向けば山瀬先生がいる。




あたしは



グッと下唇を噛んだ。





Fin