幼なじみにわたしの生死がかかってる件


『いってえええ』

「うるせえぞキョーリュー。」

『暴力反対!』

「躾だ躾。」


手をぐいと掴んで、スイは長ーいおみ足でずんずん歩いていく。そしてなすがままの可哀想なわたし。


今日という今日は逃がさねえ、という気迫が背中から伝わってくる。


今日はちゃんと学校に行くしかないみたいだ。


そう考えると、全身で鼓動しているような錯覚をおぼえるほどに心臓がばくばくする。


嫌な汗が流れて止まらなくなる。


帰りたいよ、帰りたい。
横暴で優しいスイと2人きりでいたい。


それができないならせめて誰の目にもつかない場所で独りぼっちでいたい。


「おい。」


物凄く低い声でそう言って、スイはいきなり立ち止まった。


『なんだ。』

「すっげえ汗が俺の手に付着してることについてどう考える。」


…ですよねー。ばれますよねー。

だってスイさんってばわたしの手をひいて歩いてるんですもんねー。


この壮絶な量の手汗にも当然気が付きますよねー。