Side*恭介お兄ちゃん*


やってしまった。
見てしまった。
お着替えシーン。
しかも妹の。


俺そろそろ咲菜に嫌われちゃうかも…


やだやだやだ!
そんなこと絶対許さん!

断じてゆるさん!!

言っとくがな、
俺ァシスコンじゃねーよ?
ただな妹の咲菜が可愛くて可愛くて
仕方ないから
手放したくないだけなんだよ。

世間ではシスコンだとか言うらしい。
だがしかし。
んなこたない。
だってよぅ…
親の顔を遺影でしか知らない
小さな女の子を
虐めれるか??
そんなことできるやついたら
俺そいつと友達になるわ。



とか口だけ言っても
俺そうとう嫌われたくないみたい。
なんでだろうな。

10年以上一緒に住んでんだよね。

日に日に大人になってく妹見てたら
少しぐらい寂しくなるじゃんよ。

うん。
そういうことにしとこうぜ、
そこの君。

学校では、苗字変えてるけど、
仕事以外では春島として居る。
理由はいろいろあるのだけど。

咲菜に時々隠し事してないかって
聞かれることがある。
あるっちゃあるけど
言ったらお前傷つく。
だから背負うのは俺だけでいい。
お前はお前のままで
これからも生きてけばいいの。





お兄ちゃんとして
ちゃんとやれてるかな。
父さん、母さん。




「はあ…...。」

♪ピロリロリンリン ピロリロリン

LINEの通知うるせー。


「・・・・って風島からだ。」

《聞きたいことあるんだけど。》

「なんだよ、珍しいな。」

《お前の妹のことなんだけどさ》

「まさかお前...狙ってる?」

《はっ? なんでそうなるwww》

「まあ風島のことだから下心ありありなのかと〜」

《おい逆だろ馬鹿(笑) んであのさ...》



ポンポンと
いつもの速さでLINEチャットが進む。



そして間もなく


止まった。



は?
咲菜が学級委員に?

まさか。
あいつがそんなことやるわけ。

《まあその...俺が指名したんだ》

何やってんの風島くん。

《んで、拗ねてたからさ...お前なら何か知ってるかと思って…》

《おーい、恭介?》

《キドクムシダメ。ゼッタイ。》


「あれは...あいつの心の問題だから…」

あの件は片付いたはず。
だけど、心はまだ追いついてないはずだ。
それなのに、
なぜ咲菜は引き受けたんだ。


先生が風島だからか?

だったとしたら
まあ落ち着いたってことなんだろうが
もし無理してたら…


「とにかく、理由は俺からは言えない。でも頼めるなら…」

《なんだよ(´・ω・`)》

「もし...しんどそうな顔してたら無理に押し付けるなよ。」


そっと瞳を閉じる。
確かに咲菜は真面目で優しくて
誰からも好かれる。
でもそんな天然のキャラが
あの不幸を招いた。



なんとか無事に過ごせるように
目を向けておかねば。




「って...もう5時半!?」

慌ててリビングへ降りた。