Side*坂野生徒会長*

幼い頃、ある女の子が言ってくれた。

「まーくんは、きっと良いお婿さんになるね!」

その頃僕は、
財閥の御曹司として、英才教育を受けていた。
なんでも一番にならなきゃいけなくて、特に見返りもない。
ただ、僕が何かの1番になったことで、
財閥のモチベーションが上がる。
ただそれだけ。
親に褒められたことなんて
一度もなかった。

遊ぶことはもちろん許されなかった。
同年代の子供は、何をしてるのか
それさえわからなかった。

親から決められた許嫁が居た。
でもすごい苦手な奴だった。
だから嫌いだった。
何もかも。

すべて投げ出して
遠くへ行こう。
そう思ったことが一度だけある。

思えばその時がなければ
今僕はここにいなかったかもしれない。


咲菜ちゃん、君は覚えていますか?
覚えてないかもしれないけど、
あの日君が言ってくれた言葉、
とても嬉しかった。
だから君が
僕を好きになるまで
僕は僕の仕事を頑張るよ。

生徒会長として、
男として、
君の幸せを、約束しよう。