「そうか。お前、真っ直ぐ帰宅か?」
「へっ!?」

会話が続くと思っていなかった祥子は、驚きのあまり声が裏返ってしまった。

「あー、いや。なんだ…。その、デートとか……」
「あっ、ありませんっ!!デートなんて…」

俊樹の言葉を被せるように叫んだ祥子に、一瞬俊樹も驚きの表情を見せた。

「あぁ、そうか」
「はい…。だってわたし、別れたばっかですもん…」

なぜ上司に、こんなことを言ったのかは分からない。

けれど、ポロリと出てしまったのだ。

「…メシ、行くか」
「…え」

聞こえるか聞こえないかの微妙なボソリとした発言に、祥子は驚いた。

「だ、から。メシ、行くか行かねぇのか、どっちなんだよっ」
「ヒィィ…!いっ、行きますっ!行かせていただきますっ!!」

若干、イラッとした声に祥子は恐怖ですぐに返事をした。