つまらない唇【短】

「俺が確かめてやろうか」
「はい…?」

グイッと近付いてきた、俊樹。

そして、その唇は祥子の耳元へと移り…。

「お前の、くちびる」

そう、囁いた。

「え、かちょ…」
「まぁ、お前になんざ拒否権はないけどな」

そう言って後頭部に手を回され、突然奪われた唇。

舌が挿し込まれ、口内を自由に暴れ回る俊樹に祥子は息も出来ず、ただワイシャツを掴むことしかできなかった。

チュッとリップ音を立て、離れた俊樹はクスッと笑い「全然つまんなくねぇよ。むしろ、もっと知りたくなる唇だ」と、耳元で囁き祥子は顔を真っ赤にさせることしかできなかった。

「その、なんだ…。ずっと、お前を狙ってたんだよ。なぁ、俺のオンナにならねぇか」

突然奪われた唇に、突然の告白。

自分が流されてるのは、分かってる。

分かっているけど、俊樹は遊んで捨てるような人には見えなかった。

そして、祥子は静かに頷いた。

「唇以外も相性いいかもな、俺たち」

これから、どんな甘い時間をこの人はくれるのだろう…。

祥子は期待と不安を胸に、静かに目を閉じた。


end