俺は、今度こそ美幸に笑いかける。 そして、美幸の体を持ち上げた。 「や、やっぱり恥ずかしいから下りる。」 「だめ。」 美幸は体に力を入れたくないのか、それ以上抵抗はしなかった。 店を出るとき、橋本に声をかけられた。 「はい、ミネラルウォーター。店員さんが気遣って持ってきてくれた。」 「サンキュー。」 「あと……」 「わかってる。」 橋本は俺を真剣な瞳で見つめた。 きっと、俺に「美幸をちゃんと守れ!」とでも言いたかったのだろう。 「……うん。その顔なら大丈夫そうだね。」