…なに、この取り繕ったような笑顔。

「どうしたの、お母さん。」

イライラが伝わらないように静かに聞く。

「実はね…これなんだけど。」

そう言いながら薄いパンフレットを差し出す。

「奏井男子高校…?」

「そうよ。ここの高校の吹奏楽部、

コンクールで銅賞しかとったことないらしくて…。

あなた、私に似て絶対音感持ってるでしょ?」