先輩の歌声とベースの音を、全身で聞く。 全身に焼き付けて、一生忘れないように。 先輩がピックで弾いた弦が、音を奏でる。 その振動が、私の心まで響くんだ。 この音が、先輩の音だって。 先輩の作り出した音なんだって。 一音一音を感じる。 ベースを弾く先輩の腕が、あまりにもたくましくて、息苦しくなる。 血管が浮き出た腕は、男らしさを思わせた。 あの手と私の手が、繋がったんだんだね。 あの腕に私の体は、包まれたんだね。 私は、自分の全てを先輩に預け、曲に聞き入った。