「では、リハーサルを開始します。順番と時間は、黒板に書いておいたので、各自で見ておいてください。自分たちの番の、前のバンドらへんには来るように。じゃあ、最初は俺ら、グルゼからで!」 てきぱきと要項を伝える先輩に惚れ直す。 最初がグルゼと知って、音楽室を去る者はいない。 ベースを慣れた手つきでアンプにセットし、マイクの前に立つ翼先輩。 かっこいい。 かっこよすぎる。 今日も、無造作にセットされた先輩の髪が、私の心をかき乱す。 好きだ~って、もう叫んでしまいたい。