「あぁ…おはよう」


何故なんだろう。

妙に気まずい空気を感じるのは。


「おはよーみのりちゃん!」

「あっ……おはよう、岡崎さん」


幼なじみと彼女の間に挟まれながら進む学校までの道のり。


岡崎はなんだかんだと話をしながらずっとニコニコしているけど、時々ふとみのりに視線を向けてみると、みのりはただ前だけを真っ直ぐに見ていた。



まるで、隣に俺と岡崎がいないかのように。

ずっと黙ったまま、ただ前だけを見て進んでいた。



そしてーーー。


「ねぇ涼くん、今日学校終わったらカラオケ行かない?」

「えっ…?」

「何か予定ある?」

「いや…」


もうすぐ学校だという時だった。

岡崎にそう聞かれ、返す言葉に悩みながらチラッと横目でみのりを見た。


だけどみのりは俺たちの会話なんてまるで無視。

聞こえていないのかのように、またじっと前だけを見ていた。


何でだろう。

そんな態度がいちいち気になってしまう。


「ごめん、今日…妹の勉強見ることになってんだ」

「妹?あっ、そうなんだ?」


だからなのか、俺はウソをついた。


凛の勉強なんて見てやったこともないのに…


「うん、ごめんな」


岡崎にウソをついたんだ。