「いいよね〜、あんなカップル」

「そうだな」

「あんなふうに手繋いで写真撮ったり歩いてみたいな〜」

「の前に彼氏がいなきゃ無理だけどな」

「…わっ、分かってるし!高校生になったんだから彼氏作るし!」

「できるか?」

「ちょっとどういう意味?」

「ハハッ、つーかもう行くぞ?俺超腹減ってんだよ」



涼はそう言うと、とめていた自転車にまたがってゆっくりと走り出していく。



「もうっ!」


そんな涼の自転車を急いで追いかけたあたしは、また横並びになったふたつの自転車を見て、ふっと笑みがこぼれた。



「何笑ってんだよ」

「べつに〜」



暖かい春の風を感じながら進んでいく自転車。



あたし達が自転車に乗れるようになったのは、6歳の春だったんだっけ。


お父さん達にスパルタで教えられて、転んでも転んでも泣きながらやらされたあの頃から…もう10年が経つってことなんだね。




生まれた時期も、ハイハイも、立った頃もほとんど同じだったらしいあたし達。


幼稚園、小学校、中学校もずっと同じで。

あっという間に高校生になっちゃったね。