藍の言う通り、藍の出世を止めにかかるのはおかしな話だ。







でも、藍の口から『海外で働きたい』なんて、今まで1度も聞いた事がない。







オレの為に無理をしてくれている様にしか見えない。







だからって、オレに藍を止める権利も資格もあるワケがなかった。








「・・・・・・・・・・・藍、慰謝料はやっぱ受け取って。 NYって家賃とか物価とか高いって言うじゃん。 会社からそれなりに手当ては出るとは思うけど、お金はあった方がイイだろ」








オレが藍にしてあげられる事は、これくらいしかない。








「・・・・・・・・・・・・そりゃそうだけど、別に差し迫って必要じゃないし。 ワタシ、そこまでカツカツな状態じゃないし。 大貴の方が必要でしょ。 子ども育てるって甘くないよ。 ・・・・・・・・・って、育てた事もないけどさ。 大貴の感情で優貴くんの生活のレベルを落とすのは違うと思う。
・・・・・・・・・・優貴くんを養育し終わって、お金に余裕が出来た時に返してくれればイイよ。 あ、でも、大貴に好きな人が出来て、その人との間に子どもが出来たりしたら、その子が大きくなってからでイイ。 優貴くんも、ワタシじゃない他の人なら『母親』として受け入れるカモしれないし。 あーでも、そうなると『子どもの手が離れたら、2人でゆっくり旅行でも・・・・・』ってなってお金必要かぁ・・・・・・・・・。 やっぱ、いつでもイイや。 気が向いた時でイイ」







藍の話すオレの架空の未来が、なんかしっくり来なかった。








オレは将来、他の誰かと結婚するのだろうか??







だって、オレはきっと、ずっと藍の事を好きでいる。








ずっと、忘れず好きでいる。