「大貴くん、分かった?? 下手な容赦なんか必要ないのよ。 抑圧して歪む様な性格の持ち主なんか、お咎めをなくしてしまったら反省さえしないのよ。 痛い目見なきゃ気付かない。 だったら子どものうちに見せておいた方が良い。 大人になってからじゃ遅い場合がある」
お義母さんが優貴を連れ、さっき座っていた席に戻って来た。
「『問題のある家庭の子どもの親』ねぇ・・・・・・・・・・。 犯罪という問題を起こしている子どもの親くせに、どの口が言っているのでしょうね。 いじめられる側にも問題がある・・・・・・・・・。 ほう。 100歩譲ってそうだったとしましょう。 だからって、いじめて良い理由にはならない。 いじめられる理由なんて、いじめる側が都合よくこじつけたものでしかない」
お義母さんが、やっとオレも共感出来る言葉を発した。
そして、イジメを行った子どもたちに目を向けるお義母さん。
「キミたちは、キミたちの為にキミたちを守ろうとワタシたちに食ってかかって、ことごとくワタシたちの正論に叩き潰されているキミたちの親を見てどう思う?? 恥ずかしいとは思わない?? でもね、親をカッコ悪くしているのはキミたちなんだよ。 悪い事って何でしちゃいけないのか分かる?? 相手が傷つくから。 それはそう。 でも、それだけじゃない。 身内が恥をかくからしてはいけないの。 『あの人、犯罪をおかした人間の家族なんだよ』って、自分は何も悪い事をしていなくても陰口叩かれたりするの。 悪い事は自分だけの問題じゃないの。 家族に迷惑がかかるからしてはいけないの!!」
お義母さんの言葉に、イジメをした何人かの子どもの目から涙が零れた。
藍の言う通りだった。
お義母さんは、容赦はないけれど愛情はあった。



