「優貴はまず、あらかじめ携帯の設定をワンタッチでワタシに掛けられるようにしておいてね。 あ、携帯はカバンの中じゃなくて、いつもポケットに入れとくんだよ。 で、囲まれたり、何かされそうになった時に即座にポケットの中でボタンを押すの。 かかってきたら、即刻大貴に転送しつつ録音するから。 それで、何かをされてしまった暁には『○○くん、殴らないで』とか、誰が何をしたのかが分かる様に言葉にして。 証拠になるから」
子ども相手に用意周到、手抜きなしの藍。 逃げ道も抜け道も作らない。 袋小路に追い詰めては潰しにかかろうとしている。
「証拠があればこっちのモンよ。 学校にも、イジメをしてるヤツらの親にも言い訳なんかさせません。 ワタシは絶対許しません」
藍は、学校もイジメっこの親までも巻き込んでイジメを退治する気らしい。
藍は間違っていない。
でも、悪は撲滅すればそれで良いのだろうか。 更正させる手段はないのだろうか。
『やられたら、やり返す』それで良いのだろうか。
だけど
「了解です。 早速明日遂行してくるわ」
優貴は藍の考えに同意した。
でもとりあえず、オレは優貴が嫌な思いをしなければ、それでいい。



