「お母さんを見捨てといて別な女の人と結婚しようとしてるお父さんに、納得いかないし信用なんか出来るワケない。 でも、藍さんを好きになったお父さんの気持ちは分かる。 カッコイイもん、藍さん。 オレ、叱られて楽しかったの、初めてカモ」
『フフフ』優貴がキレた藍を思い出しながら笑った。
「『楽しかった』??」
「普通、『それは良い』『それはダメ』って叱らない?? だけど藍さん、『それは得』『それは損』って叱るじゃん。 フツーじゃないな、面白いなーって思った。 でも、『あぁ、悪い事って損をするからダメなんだ』って思った。 やっぱりオレは、損するより得をしたい。 藍さんはきっと、オレが得する方法を教えてくれる。 藍さんがいれば、オレが得をする」
優貴がオレの方を見て、口を真横に伸ばし『ニィ』と笑った。



