「おい、これ一緒に歌おう」
「俺知らねーやつじゃん」
「大丈夫。晴なら歌えるって。じゃー、いきまーすっ」
朝奈は、本当に人の中心にいるのが合っていると思う。いつの間にか、仲良くなっていて、びっくりしてしまうほど。
あの人懐っこい笑顔のせいだ。あの笑顔を見たら、思わずこっちの口角まで上がる。
朝奈がいてくれた。だからわたしも、笑っていられるんだ。
去年の春、女子の学級委員がなかなか決まらなくて、仕方なくわたしが手を挙げたときに言ってくれた。
『みんなで学級委員のこと助けます』
とても嬉しかった。朝奈は学級委員じゃないのに、クラスの1人としてそう言ってくれたこと。
そして、朝奈は言葉通りたくさん助けてくれた。朝奈のおかげで、みんなからもたくさん助けてもらった。
朝奈がいてくれたから、わたしはクラスに馴染めて、今もこうしていられるんだと思う。
たった1年で、数えきれないほど朝奈に救われた。
……そんな朝奈のことが、いつからか好きだった。



