「そりゃそうでしょ……」
「あはは、タコみたい」
「た、タコ?」
人が告白したのよりもそっちか。確かに真っ赤だから、タコみたいかもしれないけど。
「うん。あー、今さ」
「朝奈もタコみたい?」
「違うよ。や、まあそうか。でもそうじゃなくて、すげー嬉しくて」
また何を言い出すかと思えば、予想外の言葉だった。わたしの頭は本当にバクハツしたんじゃないか。
迷惑とまでは言われないだろうと思っていたけど、嬉しいという言葉がくるとは。
「嬉しいなんて言われると思ってなかった。ありがとう、聞いてくれて」
「ふはっ、いいえ。どうぞよろしくお願いします」
「……ちょっと待って、朝奈。あの、よく考えた?」
嬉しいと言ってもらえたのは、わたしも嬉しい。とても嬉しい。でも、朝奈は今はここにいても、もうすぐ名古屋へ行くんだ。
今の嬉しさだけで答えて、名古屋に行ったら後悔する、そんなことはあってほしくない。