そこには変わらない浴室があり、特になにかが落ちたような形跡もない。


「……なに?」


けげんな表情を浮かべあたしは周囲をうかがう。


するとその瞬間。


まるで、誰かに見られているような視線を感じた。


背後からジッと見つめられているような……。


あたしはパッと振り返る。


しかしそこには浴槽の小窓があるだけで、なにもない。


あたしの気のせい……?


そっと小窓に近づき、そのすりガラスに手を当てる。