あの時伊達先生が来なければ、きっと負の連鎖は今も続いていただろう。


伊達先生は死を持ってその連鎖を断ち切ったのだ。


あたしは電車のホームから青空を見上げ大きく息を吸い込んだ。


「ツムギ!」


元気そうな竜季が手をふって駆け寄ってくる。


そしてあたしたちはいつものように手を繋いだ。


「竜季、今日は部活?」


「あぁ。先に帰っていていいからな?」


「あたしも待っているよ。一緒に帰ろう?」


そんな会話をするあたしたちの前に電車の音が近づいてきた。


『白線の内側へ下がってください』


そんなアナウンスが流れてくる。


あたしはそれに従い、一歩後ろへと下がった。


その瞬間、トンッと誰かの手があたしの背中を押した。