すべてを終えた男は通路を歩き、階段をあがり、そして3回ノックをした。


「少しは頭が冷えたか?」


ドアの向こうから男の声が聞こえてくる。


「あぁ。俺はもう大丈夫だ。


彼女の美しさに惑わされていたけれど何日も地下閉じ込められていたことで目が覚めたよ。ただ、彼女の方は……」


「どうした?」


灰色のドアが開き、年配の男が姿を見せる。


一目で高級だとわかるスーツを身にまとい、口にはヒゲを生やしている。


「この狭い通路の中、気が狂ってしまって……自殺をしてしまったんだ」


「なんだと!?」


「だけど大丈夫だよお父さん。お父さんの名前に傷がつかないように俺がちゃんと処理をしたから。


それに彼女の遺体が見つからないように、俺はずっとここで見張っているからね……」