あたしは竜季ときつく手を握り合い、後ずさりをした。


冷や汗が背中に流れ、体はいやおうなしにカタカタと震えだす。


だけど目だけはしっかりとその様子を捕らえていた。


ボコボコと浮き出す土。


その中からずるずると腕が這い出てくる。


腕の次は頭、胴体、足……。


彼女のすべてが出てきたとき、もう1つの足音が聞こえてきてあたしはハッと振り向いた。


「……伊達……先生……?」


そこには手に懐中電灯と大きなスコップを持った伊達先生がいたのだ。


あたしは唖然として伊達先生を見つめる。


そして伊達先生はあたしと竜季ではなく、彼女を見つめその場に立ち尽くしていた。