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真っ黒な階段をゆっくりゆっくりと下りていく。


「なにかひっかかるものが見つかったらすぐに言ってね」


「あぁ、わかってる」


そんな会話も、まるで別世界で行われているような感覚がしてくる。


土の壁を念入りに調べながら一歩一歩下りて行き、ついに一番したまでたどり着いた。
竜季はその先を照らし出し「すげぇな」と、声を漏らした。


「ここまでしたのに相手を殺してしまうなんて、あたしにはわからない」


そう言い、あたしは左右に首を振った。


「あぁ、俺もわからない。でも……」


竜季は言葉を切って周囲を見回した。


「この中に閉じ込められた状態じゃ精神状態が狂っても仕方ないと思うよ、俺は」


「……そうかもしれないね……」


あたしはそう返事をして、ふとこのまま閉じ込められるのではないかと言う恐怖心にかられ、竜季の手を握りしめた。