「先生教えてください!『アイツ』って一体誰なんですか!?」


なんとか部屋の中に踏みとどまり、あたしはそう言った。


その瞬間部屋の中が静まりかえる。


伊達先生は目を空中に泳がせ、頬に汗が流れていた。


「……お願いします伊達先生」


静かな声でそう言うと、伊達先生は力がぬけたようにその場にストンッと座り込んだ。


「……本当に聞きたいのか」


「……はい。いろはちゃんのためにも、これからの生徒たちのためにも、この状況を変えたいんです」


「そうか……。聞いた後に後悔するなよ」


伊達先生の言葉にあたしは生唾を飲み込み、そして小さくうなづいたのだった。