それはいろはちゃんの葬儀が終わり、しばらく経ってからのことだった。


寮へと帰る道の途中竜季と会ってしまった。


最近はなんと声をかけていいかわからなくて、少し時間をずらして帰るようにしていたから、久しぶりのことだった。


「ひ、久しぶりだね……」


ほぼ肩を並べる状態で歩いているのに声をかけないのもおかしいかと思い、あたしは気まずいながらもそう話しかけた。


竜季は最初あたしが隣にいることに気が付いていなかったらしく、あたしの声に驚いたように地面から顔を上げた。


「あぁ……ツムギか……」


久しぶりに聞く竜季の声。


その声はあたしが付き合っていた頃よりもかすれて弱弱しくて、胸が痛んだ。


こんなに心が左右されるなんて、あたしはまだ竜季のことが好きなのかもしれない。