ここまで追い詰めるなら、教えてよ。


あなたがどうしてほしいのか。


なにが望みなのか。


「言いなさいよ、卑怯者!!」


そう怒鳴りながら、あたしは勢いよく浴槽へと続くドアを開いた。


そこには……頭から真っ赤な血を垂らし足元に血だまりを作っている、彼女がいた。


一瞬悲鳴を上げそうになったのをなんとか押し込み、あたしは彼女を見つめる。


「あなたはあたしにどうしてほしいの……?」


足元から崩れ落ちそうになる恐怖。


彼女の濡れた黒髪にさえ、戦慄させられる。


しかしここで気を緩めてしまうと命を奪われかねない。


「あなたはここで殺されたんでしょう? まだ、犯人は捕まっていない。そうなんでしょう?」


恐怖が先立たないように、あたしは早口でそう言った。