教室へ向かう途中、あたしは不意に昨日先輩に言われたことを思い出してしまった。


せっかくウキウキして楽しい気分だったのに、あの『噂』の事が頭をよぎる。


「どうしたのツムギちゃん?」


「え、なにが?」


「なんか、急に表情が険しくなったよ?」


そう言い、いろはちゃんがあたしの頬を人差し指でつつく。


「そ、そうかな?」


「うん。何かあったの?」


穏やかな口調でそう聞かれると、昨日の事を話してもいいかな?


という気持ちになってくる。


まだ他に友達もいないし、相談するなら同じ寮に入っているいろはちゃんが一番いいかもしれない。