「なによ……これ……」


茫然として周囲を見まわす。


いつもこの時間でも人が行き来しているはずの道に、誰もいない。


さっきまで通っていた車も、今は一台もみあたらなかった。


あたしは足をもつれさせながら走り始めた。


一体どういう事?


今まで寮のお風呂の中でしか奇妙なことは起きなかったのに……、


どうして!?


走りながら振り向くと、街灯の明かりはすぐそこまで真っ暗になっている。


彼女が、いる。


咄嗟にそう感じた。


パチンパチンと消える街灯の下に、長い髪をした青白い女性が一瞬見えた。


あたしはハッと息を飲みこんで、再び前を向きなおした。