「廣瀬さん、無理に話す必要はないですよ」


伊達先生が横からフォローを入れる。


あの個人情報のファイルからすれば、廣瀬柚乃の父親の年齢はまだ54歳だ。


それが70代に見えるほど老け込んでしまったのだ。


廣瀬柚乃の死がどれだけ辛かったか、あたしには計り知れない。


「柚乃が死んだ理由なら、俺が聞きてぇよ……」


聞き取れるかどうかわからないくらいの声で、琢磨さんはそう言った。


「え?」


竜季がそう聞き返す。


次の瞬間、琢磨さんは涙でグショグショに濡れた顔をあげ、テーブルをひっくり返したのだ。