最後にあたしがそう聞いた時には伊達先生の顔は真っ青になっていて、あたしは竜季と顔を見合わせた。


伊達先生は青ざめた顔のまま地面に視線を落とし、何も言わない。


「先生、どうしたんですか?」


心配になり先生の肩に手を伸ばそうとした時、先生はその手を勢いよく振り払った。


「そんなのはただの噂だ! そんなものに惑わされているから、お前たちは寮内でも態度が悪いんだ!!」


あたしの手を振り払った先生は、せきを切ったようにどなり始めた。


その剣幕にあたしと竜季は数歩後ずさりをする。


肩で荒い呼吸を繰り返し、眉を吊り上げ、血走った眼であたしたちを睨みつける。


あきらかに、今までの先生とは何かが違う。


先生はこの噂について何かを知っている!


恐怖と同時にそう直感が働いた。