鏡に絡みつく髪の毛を思い出す。


あの出来事も、ちゃんと竜季に話すべきだ。


「で、でも。もしも信憑性のあることだったら気持ち悪いし、ね?」


あたしはその場をごまかすようにそう言い、笑う。


出てこなかった言葉が、ベッタリと喉の奥に張り付いている感じがする。


ドクドクと心臓に嫌な汗をかき、あたしはしきりに視線を竜季からそらした。


「そうだなぁ。仕方ないから少し調べてみるか」


竜季は特に気にしなかったようにそう言い、あたしはホッと胸をなで下ろしたのだった。