先生はゆっくりと車を走らせてくれる。
通学路のスーパー、コンビニ、本屋さん…
全てが車の中からは、初めて見るものに見える。
夜8時といっても、まだ車は多くて、毎回信号に捕まってしまう。
何か話さなきゃ…
「先生どこに住んでるんですか?」
ひや…いきなり変なことを聞いてしまった…
「おお、いきなり個人情報を…となりの__市だよ。」
だから、車なのか。
あともう一つずっと気になってたこと…
「あ…先生って…彼女いるんですか…?」
ずっと聞きたかったけど「いる」なんて言われたらどうしようかと思って聞けなかった。
「ははは。どっちだと思う?」
「いない。」
これは願望だ。
「失礼な奴。当たってるけど。」
僕はそれを聞いた瞬間ガッツポーズをしそうになった。
そうやって話してると家の近くの交差点が見える。
「あ…ここでいいです。家そこなんで。」
「大丈夫か?別に家の前まで行くよ?」
「あ、本当に大丈夫なんで。ありがとうございました。」
なんて、僕って可愛くないんだろう。
「はいはい。じゃあおやすみ。」
僕が車から降りようとした瞬間
「気をつけて。」
僕は顔が熱くなって恥ずかしくて走ってしまった。


