2,30分ほど仕事をして、私は取引先を出た。

会社の外は、もう薄暗くて、ネオンがキラキラと輝き始めた。

…今日も一日長かったな。

そんな事を思いながら帰宅する。


「・・・・」

家の前。

私は少し離れた場所に立っている人物に釘付けになった。


「…お帰り、今日子」

そう言って微笑んだのは、今日もよく似合っている黒のスーツ。

ブルー系のチェックのネクタイを締めた・・・


「宮本部長」

「・・・ただいま」

優しく微笑んだのは、宮本部長だった。

…なかなか足を進めない私に、部長自ら足を進めて近づく。


「どうした?そんな所につったって?」

目の前まで来た部長は、私の手を取ると、私の部屋へと歩いていく。

私は胸が一杯で、ただただ部長の後姿を見つめていた。


「…ほら、鍵」

「・・・え・・・あ、はい」

私はガサガサと鞄を漁り、部長に部屋の鍵を渡す。

それを受け取った部長は躊躇いもなく部屋の鍵を開けると、

私を中に引っ張り込んだ。