宮本部長その人だった。

紺の細身のスーツ。ストライプのネクタイが爽やかな、

黙っていても相変わらず、カッコいい部長。

・・・その姿を見てるだけで、ドキドキと心臓がうるさい。

…困ったものだ。


私は宮本部長の後ろを歩きながら、ブツブツと文句を言っていた。

一体深山はどこに行ったのか?という事。


「深山は、営業のパートナーを、変更した」

「・・・は?」

その言葉に目を丸くする。


「深山は、明らかにお前を狙っていたから。そんな男は、お前の傍に置いておけない。

部長の権限でそうさせてもらった」

「…職権乱用です」

私の言葉に、確かにそうだな、そう言って少し部長は笑った。



「お前は常にオレの傍にいろ、いいな?」

そう言って私を見た宮本部長に、ただでさえドキドキしていた心臓が、

口から飛び出しそうな勢いだ。


「部長、私をえこひいきしすぎです」

「・・・いいんだ、お前がいてくれたらそれで」

…ヤバい、何でこんなに嬉しいんだろう?