無口な上司の甘い罠

「宮本部長、何考えてるんですか?」

「・・・そんなこといいから、今から、B社に行くぞ」

「…B社ですか?あそこの石丸さん、

宮本部長がお気に入りなんですよね」

「・・・行くぞ」

「ひゃ」

…私の言葉なんて全部無視ですか!

超不機嫌な顔のまま、B社に向かった。


「お待たせして申し訳ありませんでした、石丸さん」

B社の石丸梓は、宮本部長より二つ上の37歳。

営業部長としてうちと色々取引のある人なのだが、

それはそれは、宮本部長の事を気に入っていて、

会うと必ずと言っていいほど、女の色気をアピールする。


「いえいえ、わざわざ来ていただかなくても、

こちらからお伺いしましたのに・・・ところで、

そちらにいる美人さんは、誰かしら?」


…明らかに私を敵視している石丸梓。

私の笑顔は引きつっている。

「私の部下の、坂口今日子ですよ」

宮本部長の言葉に、石丸梓は驚いている。


「…あの、メガネブ・・・・」

…ブス。

そう言いたいのが丸わかり。