…腕時計に目をやるが、メガネ屋に行ってる時間はない。

…私は、見えない視界を、何とか細めて周りを確認し、

…無事に、会社に到着した。


「おはようございます」

「おはようござい・・・」

・・・?目の前にいる、同じ部署の…誰かさん。

私の顔を見て、驚いている様子。


「・・・何か?」

その人に問いかける。

「…どちら様ですか?」

その人は、驚いた顔のまま、私に聞き返した。


「私?私は、坂「おはよう、今日子」

「坂口さん?!」

「・・・はぁ」

私が誰だかわかって更に驚いてる様子だった。


「今日子、メガネは?」

私に挨拶をしたのは、隆盛だった。

「…あ~、ちょっと不慮の事故で。お亡くなりになった」

「・・・は?」

私の言葉に、隆盛は首を傾げる。


「壊れたの、メガネ屋に行く時間もなかったし」

その言葉にようやく合点が言ったようだった。